熱や摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変形しにくいとされ、かつては多くの建材に使用されていたアスベスト。しかしながら現在では、その細い繊維が人の肺胞に沈着し、肺がん等のさまざまな健康被害を誘発しうる物質であることが判明しています。
すでに法令によって製造・使用が全面禁止となっているアスベスト。大きく分けると「蛇紋石族」と「角閃石族」の2種類があり、さらに「角閃石族」は5種類に分かれます。それぞれの特徴や主な用途等について確認してみましょう。
蛇紋石族に属するアスベストがクリソタイル。蛇紋石を構成する主要な鉱物の一つで、別名「白石綿」とも言われています。 蛇紋石とは、超塩基性火成岩が蛇紋石化作用により生成された鉱物で、多くのクリソタイルは、その中に網状で存在しています。また、蛇紋石の基質に短繊維状態で存在していることもあります。 耐熱性は約500℃までと安定的で、膨張力はすべての種類のアスベストの中でもっとも高め。一方で、すべての種類のアスベストの中で、耐薬品性がもっとも低いことも特徴の一つです。 主要生産国はカナダ。日本はもとより、かつては世界中の国々がカナダからクリソタイルを輸入していました。世界中で使用されてきたアスベストの9割はクリソタイルとされ、アスベストを使用した大半の建材にクリソタイルが用いられています。
クロシドライト(青石綿)とは、リーベック閃石が繊維状に発達した鉱石の一種。「Na」「Fe2+」「Fe3+」を含有したことで、やや青みがかった発色の外観を特徴とします。すべてのアスベストの中で、もっとも毒性が強いとされています。 主な用途は吹き付け。内装の吹き付けにも多く使用されているため、該当する住宅にお住まいだった方には健康被害が懸念されます。吹き付けのほかにも、セメント高圧管などにも多用されていました。
アモサイト(茶石綿)とは、グリュネ閃石に属する鉱石の一種。主に南アフリカのトランスバール鉱山から産出されていました。外観上、やや桃色がかった発色をしていることが特徴です。 クロシドライトと同様、主な用途は吹き付けです。建物の断熱保温材に使用する素材として使用されていました。一般に断熱保温材は内装面に露出してはいませんが、長年の使用による健康被害の可能性は否定できません。
他の種類のアスベスト、滑石(タルク)、蛭石などの不純物として含有されているアスベストです。日本では熊本県旧松橋町にアンソフィライト石綿を産出する鉱山が存在しました。 海外から国内に持ち込まれた記録はないものの、検出事例は報告されていることから、国内で産出されたアンソフィライト石綿が建材として使用されていた可能性もあるでしょう。吹き付け用として使用されていたという事例が多く報告されています。
トレモライト石綿は、角閃石の仲間に属している鉱石の一種です。アンソフィライト石綿と同様、他の種類のアスベスト、滑石(タルク)、蛭石などに含有。角閃石族の中での分類基準では、含有される鉄分とマグネシウムの比率において、鉄分が10%以下のものをトレモライト石綿とします。 トレモライト石綿も海外から国内に持ち込まれたという記録はありませんが、検出事例は報告されています。吹き付け用として使用されていた例が多いようです。
アクチノライト石綿は、トレモライト石綿と同様、角閃石の仲間に属している鉱石の一種。他の種類のアスベスト、滑石(タルク)、蛭石などに含有される形で存在しています。角閃石族の中での分類基準では、含有される鉄分とマグネシウムの比率において、鉄分が10%超~50%以下のものをトレモライト石綿とします。 トレモライト石綿との違いは鉄分の含有比率のみなので、分析報告書では「トレモライト及びアクチノライト」と表記されます。 検出事例としては、吹き付け用として用いられていたケースが多いようです。
アスベスト全体の用途は3,000種類以上とされ、2022年現在でもなお、古くに作られた多くの建築物等に含まれたままと言われています。 アスベストの怖さは、アスベストを吸い込んですぐに病気が発症するわけではない点です。アスベスト鉱山やアスベスト製品工場などで働いていた人はもとより、工場から飛散してくるアスベストを吸い込んだ一般の人たちも、その数年後、数十年後にアスベストを原因とした病気を発症する可能性があります。 何らかの心当たりがある方は、医師だけではなく法律家などの専門家にも相談してみるようおすすめします。
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