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アスベストの健康被害のことがよくわかるサイト【アスサクラ】 » アスベストの基礎知識 » アスベスト疾患の発症率
更新日:2023/05/12

アスベスト疾患の発症率

このページでは、アスベストの健康被害に関連して、具体的にどのような疾患や症状が懸念されるのか、またそれぞれのアスベスト疾患の発症率について分かりやすく解説しています。アスベストの健康被害を考える材料としてご活用ください。

各種疾患の発症率について

アスベストによる健康被害をアスベスト疾患と総称するとして、それぞれの症状の発症率は分かっていません。また、どの程度アスベストを吸入していれば発症率が具体的にどう変動するかを明言することも困難です。

ただしアスベストの吸入量が増えるほどにアスベスト健康被害の発症リスクが増大することは認められており、例えば厚生労働省では人口動態統計によって国内の中皮腫患者の死亡数を公表している他、2020年10月17日には「世界疾病負荷(GBD:Global Burden of Diseases)」が更新されて、1990年から2019年までのアスベスト健康被害の関連データや推計が公開されています。

アスベスト(石綿)に関係する疾患

アスベストに触れる環境やアスベストを取り扱う仕事に従事していた人は、飛散したアスベストを吸引したことにより、様々な健康被害のリスクや発症率が増大すると知られています。

中皮腫

アスベストを原因として発症する病気には複数のものが考えられますが、中でも悪性中皮腫は代表的なアスベスト健康被害の1つとして、厚生労働省の公式ホームページにおいても記載されています。

中皮腫の「中皮」とは胸膜や心膜、腹膜といった臓器を覆っている細胞層であり、中皮腫は文字通り中飛細胞に発生する悪性腫瘍の総称です。アスベストは主に胸膜中皮腫の原因として知られています。

肺がん

中皮腫を基礎とした転移や、吸入によって胚細胞へ取り込まれたアスベストの物理的な刺激などによって肺がんの発生リスクが上昇すると考えられていることも特徴です。なお、最初に肺がんとして発症する場合と、他の癌が転移して肺がんになった場合とで区別されており、またアスベストへの曝露量に比例して発症率も増大します。

ただし、肺がんの原因は複数あるとされており、アスベストと肺がんの関係について完全には解明されていないこともポイントです。

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚は、肺を覆っている胸膜が線維化して分厚くなり、高質化してしまうことで呼吸機能の低下などを引き起こす病気です。肺は呼吸に合わせて縮んだり膨らんだりすることでポンプの役目を果たしているため、胸膜が高質化して動きにくくなれば、必然的に呼吸機能が低下して息苦しさを覚えたり、最悪の場合は酸素吸入器を常に使用していなければ生きられなくなったりといった恐れもあります。

アスベストはびまん性胸膜肥厚の発症原因の1つと考えられています。

石綿肺

肺が線維化する病気に肺線維症というものがありますが、特にアスベストが原因となって発症した肺線維症を「石綿肺」と呼ぶことが重要です。

アスベストの吸入量に比例して肺の線維化リスクが増大し、また大量に吸い込んだアスベストは除去されることなく肺の中に蓄積していくとされていることもポイントです。

その結果、石綿肺はアスベストから遠ざかってからも長い潜伏期間を経て発症する可能性があります。

良性石綿胸水

胸水とは肺を覆っている臓側胸膜と壁側胸膜という2つの胸膜の間(胸腔)に液体が貯まって以上を引き起こす状態であり、またその液体そのものを指す言葉です。

胸水が発生する原因には複数のものがありますが、アスベストによって胸膜に炎症などが発生して胸水が発生し、胸腔に貯まっている状態を良性石綿胸水と呼びます。

自覚症状の有無や後遺症については個人差があり、潜伏期間も15年から40年まで様々です。

アスベストを吸引した可能性がある場合にやるべきこと

アスベストの吸引と諸症状の発症率を厳密に試算することは困難ですが、アスベストの吸入が長期的に健康被害のリスクを高めることは認められており、アスベストを吸引した可能性がある時点で病気の発症を念頭においたライフスタイルを整えることが重要です。

定期的に健康診断を受ける

がん検診や定期健診など、医療機関において定期的な診断や検査を受けて体調変化や病気のリスクについてチェックしておくことが大切です。

特にアスベストの健康被害が懸念される人の場合、そうでない人よりも病気の発症率が高まっていると考えられるケースもあり、積極的に健康診断を受けて体調管理を行いましょう。

アスベスト疾患の主な症状を知っておく

アスベストによる健康被害について一般的な症状や代表的な疾患を把握しておくことで、自覚症状や気になる症状が現れた場合に、迅速な対応を行える可能性が高まります。

ただし、過度な不安やストレスによって心身の悪化を招かないよう、冷静かつ客観的に対処する意識も大切です。

中皮腫

中皮腫の症状として考えられるものには咳や胸痛、胸水による呼吸機能の低下(呼吸困難)や胸部の圧迫感などが挙げられます。また潜伏期間がとても長く、アスベストの吸入から10年未満や20年以下といったタイミングでの発症リスクはあまり高くないと考えられていることも重要です。

言い換えれば、アスベストの吸入から数十年後に上記の自覚症状が現れた場合、中皮腫の可能性を考慮して医師の診断を受けるようにしてください。

肺がん

肺がんの症状は咳、血痰や痰、胸痛や息苦しさ、その他にも発熱や倦怠感など様々なものが挙げられます。

肺がんの原因にはアスベストの他にも喫煙習慣や遺伝による影響など複数のものがありますが、特にアスベスト吸入歴が認められるような人であれば、定期的ながん検診によって肺がんリスクに備えておくことが大切です。

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚が発症・進行すると、呼吸機能が著しく低下して日常生活を送っているだけでも息苦しさを覚えたり、息切れや動悸によって運動機能が悪化したりと、様々な症状が現れやすくなります。また、胸痛や発熱を感じたり、肺炎のリスクを上げたりと他の病気の原因になってしまう恐れもあるでしょう。

びまん性胸膜肥厚は完治を目指すことが困難な症状であり、早期発見・早期対応が重要です。

石綿肺

アスベストによって肺の線維化が進行すれば、咳や痰が発生しやすくなり、初期症状として息切れや呼吸不全といったものも現れます。加えて肺炎や肺結核、肺がんといったその他の病気リスクも増大させることがポイントです。

また、石綿肺は潜伏期間が中皮腫や肺がんよりも短いため、想定よりも早いタイミングで違和感を抱いた場合も速やかに医師の診察を受けるようにしてください。

良性石綿胸水

良性石綿胸水は無症状で済む場合や、初期は自覚症状がない場合もあり、良性石綿胸水として違和感や不調を自覚した時点では症状が進行している恐れもあります。

なお、胸水の発生原因はアスベストに限らず、潜伏期間などに関係なく呼吸機能や肺、運動機能に違和感を覚えた際にはなるべく早く医師の診察を受けることが大切です。

疑わしい症状が出たら早めに医療機関で相談する

アスベストによる健康被害やアスベスト疾患は、同時に他の原因によっても同様の症状や疾患が引き起こされるケースも少なくないため、常にアスベストだけが悪影響を及ぼしていると断定することはできません。

しかしアスベストの吸入量が増えれば健康リスクが増大することは知られており、少しでも疑わしい症状が現れた場合、迅速に医療機関へ相談して医師の診察や検査を受けることが重要です。

まとめ

アスベストに関連した健康被害や疾患はいずれの場合でも早期発見・早期対応が重要であり、またアスベストが原因だと医学的に認められれば労災保険制度やアスベスト健康被害救済制度といった公的補償や公的サービスを活用できるようになり、行政から治療や生活をサポートしてもらえる可能性も高まります。

アスベストの吸入量やアスベストの関連の業務へ従事していた期間と、諸症状の発症率や発症リスクは比例関係にあると考えられるため、少しでも気になることがあれば迷わず医師へ相談するようにしてください。

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